本紹介『深夜特急』 沢木耕太郎 | 朝霞・志木・新座エリアの小学生・中学生向け学習塾【萌学舎】
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本紹介『深夜特急』 沢木耕太郎

2025/02/19
本紹介
國吉真人|埼玉県朝霞市の学習塾 萌学舎教師のイメージ
國吉真人|埼玉県朝霞市の学習塾 萌学舎教師

『深夜特急』 は、「旅」をテーマにした、1986年発刊のノンフィクション小説です。
現在、新潮文庫から全6巻の文庫本として出版されています。

順調だった仕事を投げだして、26歳の男は2万kmの旅に出た

1974年、当時26歳だったルポライター(記者)の沢木耕太郎は、友人との「インドのデリーからイギリスのロンドンまでバスで行くことは可能か」という賭けをしたことをきっかけに、仕事をすべて投げ出して、本当に旅に出てしまいます。
それも、「シルクロードが通っていたのだから、バスくらいあるだろう」という無計画ぶり。
ギャンブルでお金を使い果たしそうになる、安宿に長く滞在しすぎて廃人になりかけるなど、様々なトラブルに見舞われながら、筆者は旅を続けます。

多様な価値観を持つ人たちとの出会いの中で、自分の取った行動を後悔したり、意見の食い違いを何とか消化しようとしたり……筆者の思考が克明に描かれていて、いつの間にかのめりこんでしまいます。

印象深いフレーズを、いくつか書いてみます。

「私は、失業している若者に昼食をおごってもらっていたのだ」

「香港で影と見えていたものも、カルカッタで数日過ごしたあとでは眩しいくらいに光り輝いて見えた」

「この母子と思われる二人も天寿を全うできず河に流されるのだ」

「ヒデエことをしやがる。私は私を罵りたくなった」

「人と人との関わりの最も甘美な表出の仕方が親切という行為のはずなのだ」

『深夜特急』 沢木耕太郎

どしゃぶりの輝く雨の中で

私自身も、半年間、インドやネパールにバックパッカーとして旅に出たことがあります。

旅の序盤、思ったような面白みを感じられず、カトマンズ郊外を落ち込み気味に歩いてた時です。
太陽の光が雲間から降り注ぐ中、突然、土砂降りの雨が降ってきました。

大きな雨粒が、見たこともないくらいにキラキラと輝いています。思わず目を奪われていると、両脇の民家の扉がバタンと開いて、笑顔にあふれた人々が飛び出てきました。雨どいから流れる水をバケツに汲んだり、絨毯を道に広げてごしごしと洗いだしたり、その横を小学生くらいの女の子がはしゃぎながら家路を急ぎます。

乾季でした。雨が貴重なのです。ただの雨に、こんなにも喜びがあふれている。

この時、旅に出て良かったと、心底感じました。ガイドブックに載っていない、何でもない町の光景が、心に残って消えないのです。

海外に出なくても、『旅』はできる

多くの人を旅へと誘ったこの小説ですが、「そうはいっても、なかなかこんな旅はできない」と言う人も多いと思います。
でも、国外に行くだけが、どこか違う場所を訪ねるだけが旅でしょうか。

そんなことはないと思います。

知らないものに触れること。
一見恐ろしいものに、少しの勇気をもって関わってみること。
取るに足らない、くだらないと感じるものを、少し違う視点で見てみること。
大好きで安心できる空間から、一歩外へと踏み出すこと。

日本にいながらでもできる、そういったものすべて、「旅」と言えるのではないかと思います。

興味のあるもの、心地よいものはもちろん、何か違和感を感じるもの、怖いものにも、ぜひ触れてみてください。
今までに関わることのなかった人や考え方は、これからの生き方に新鮮な風を吹き込んでくれると思います。

國吉真人|埼玉県朝霞市の学習塾 萌学舎教師のイメージ
國吉真人|埼玉県朝霞市の学習塾 萌学舎教師

萌学舎にて英語・数学講師を担当しています。好きな言葉は「犬も歩けば棒にあたる」「捨てる神あれば拾う神あり」。高校時代にアメリカとオーストラリアに3週間ずつホームステイ、大学卒業後にネパール・インド・タイを半年間放浪していました。中学3年間英語をみっちり勉強すれば、世界一周ができる英語力が十分に身につきます。一緒に頑張りましょう。

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