お知らせ・コラム
AIのいる時代に何を勉強するのか
最近のニュースはトランプ大統領の関税の話題でもちきりです。トランプさんの発言は半日単位で変わり、先がまったく見通せません。アメリカ大統領ってこんなんでいいんだという新鮮な驚きをおぼえています。
X(旧Twitter)ではトランプ大統領を支持するある女性の投稿がバズっていました。その女性の父親は長年家族のために実直に働いてきましたが、工場が海外に移転することになり、あっさりとクビにされてしまいます。その女性はこう書きます。
「血を流し、命を捧げてアメリカを豊かにしてきた人々を、今この国はないがしろにしている。だから私はトランプを支持する。」
この投稿を読んで私は「これは他人事じゃないな」と思いました。時代の変化によって仕事を奪われる可能性があるのはアメリカ人だけではありません。
AI(人工知能)やロボット技術の急速な進歩によって、人間と機械の競争が始まるからです。
私のやっている「塾講師」という仕事も無関係ではありません。もちろん、現状のAIは「問題を解く」能力こそ東大理Ⅲレベルに達したものの「人間が理解できる解き方をする」能力はまだまだ未熟です。しかし、これも時間の問題でしょう。
人間の脳とAIは基本設計が根本的に違うので、AIの能力の限界点が人間と同じである可能性は極めて低く、後ろに姿が見えた時点で追い抜かれるのはほぼ確定です。
ファミレスにネコ型の配膳ロボットっているじゃないですか。あの子の時給ってもう100円ぐらいなんですよ。もちろん初期導入コストなんかはありますが、雑に言えば時給1000円の人間のバイトを使うより時間あたり900円安いわけです。
そこで浮いた900円を使えば、例えば、ファミレスの経営者は人件費を300円減らし、お客さんに無料で300円のデザートをサービスし、バイト君は寝てるだけで300円を受け取るという世界も実現可能なわけです。
しかし、現実には、そういう「全員が得をする世界」は絶対にやって来ず、バイト君は首になり、客へのサービスは変わらず、経営者が利益を総取りしていきます。
資本主義の世界では、自由貿易や技術革新が格差を広げてしまい、逆に不幸になる人間が出てきます。こんなの社会制度のバグです。今後はアメリカ人が自由貿易に反発したようにAIを使用禁止にする動きも出てくるでしょうが、個人的にはAI君とは仲良くやりたいなあと思っています。
生活に必要なことは全部AIがやってくれて、人間はさっさと引退し、縁側でお茶でも飲んで心おだやかに生きられる未来がきてほしいです。

まあしかし未来はまだ来ていないから未来なので、しばらくはAIと競争する世界に我々は生きていきます。AIが仕事の仕方を変え、奪っていく、配膳のバイトしかできない人間にはつらい時代です。
特にこれから社会に出る子供たちにとっては死活問題です。
こういう時代に大事な力の一つは、環境の変化、新しい技術に適応する柔軟性です。この「新しいものごとに取り組む態度」を学ぶのに、実は勉強が非常に有効です。
例えば私は今日、中3数学の授業で「解き方が分からない問題に出会ったら、答えを適当に決めて具体例を作ってみよう」という話をしました。
勘で選んだ数字でいいので、それが問題の条件に合うか実際に計算して確かめてみます。その過程で「そうか、Pの値からQが求まるんだな」とか「Aの値は今は関係ないな」といった問題の構造が分かってくるのです。
社会に出たあとも「やり方を知らないので」とふんぞりかえっている人間より「とりあえずやってみます」と言って手を動かす人間のほうが何十倍も価値があります。
私が東大に入って印象的だったことの一つは、東大生は提案されたことを「すっ」とやるということでした。「悪い意味で頑固」な人はほとんどいなかったです。
このように、勉強というのは「知らないものに出会ったとき、それといかにうまく付き合うか」という練習なんですね。国語の文章を読んで多様な考えにふれること、外国語を学ぶこと、全部同じです。
勉強で単に「知識・技術」を学ぶのか、それとも「新しいものごとに取り組む態度」を学ぶのかで、やるべきことが全然変わってきます。
例えば、予習で分からない問題に出会ったとき、すぐ人に聞くか、自分の頭で考え抜くか。
AIのいる時代は、後者を目指しましょう。
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