お知らせ・コラム
ヨーロッパ散策記① -フランクフルト・チェコ編-
GW中に、ヨーロッパにぶらりと行ってきました。旅程はあえて決めず、行った街が気に入ればよし、気に入らなければ次の街/国へ、というスタイルで、マンドリンを持ち、演奏をしながらの1週間でした。
なお、国にもよりますが、航空券手配・宿選び・移動はすべてスマホで完結できます。ある程度の中学英語ができれば、問題なく個人で海外旅行ができる世界になりました。
フランクフルトへ到着。さっそく「海外らしさ」を感じる
到着したのは現地時間の午後4時ごろ。13時間ほどのフライトで疲れていたので、早速タクシーで宿へ。
運転手はトルコから出稼ぎに来ている40代の男性でした。私がひげを生やしているのを見て、”Are you Muslim?(あなたはイスラム教徒ですか?)”と聞いてきます。
”No, I’m Buddhist.” 海外では「無宗教」は避けた方が良いので、無難に「仏教徒だ」と答えます。
すると、”What is Buddhism for you?(あなたにとって仏教徒は何ですか?)” こう返され、答えに困りました。
何とか、日本には様々な神がいて~というような言葉を絞り出しましたが、ぴしゃりと”God is only one.”そう返されました。運転する後頭部からすらにじみ出る信仰心の強さ。日本ではあまり感じることのない感覚です。
「ああ面白いな」そう感じました。そして、もっと学ばないといけないとも感じました。もっと幅広い知識、自分自身の文化的な背景を語れるように。英語が話せるだけでは意味がない。その後も、いつから働いているのかとか、フランクフルトはどうだとか、雑談をしながら宿に向かいましたが、今思い返しても、この時自分の宗教観を話せたら、この運転手の人とはどんな会話ができたのだろうと想像します。
すぐにチェコに移動することに
5月のドイツは、夜9時ごろまで昼間のように明るいです。かわいい建物がつらなる街並みは歩いていても楽しかったですし、フランクフルト大聖堂は荘厳でした。
しかし、なんというか、あまり面白くありません。街全体が常識的な感じがするのです。旅の醍醐味は「予想だにしない何かが起きること」だと思っていますが、どうもその予感がしない。
翌日、早くも次の行き先を考えました。ベルリンか、チェコか、はたまたオランダか。悩んだ末、朝6時チェコ着のバスを予約しました。40ユーロ、約6,000円ほど。バスに乗ると、隣の席の大学生らしき若者が、分厚いテキストに一心不乱に書き込みをしています。それを横目にうとうとするうちに、いつしかチェコの首都・プラハに到着していました。
チェコ・プラハの街並みをキックボードで走りまわる
プラハはフランクフルトよりもずっと奇麗でした。「百塔の街」と呼ばれ、何世紀も前から姿を変えずにいる街です。街の至る所にあるLimeという電動キックボードに乗って、ガイドブックは見ずに、あてどなく街をめぐります。偶然見つけたもの、たまたま出会ったものの方が思い出深いし、面白いものです。住宅街を抜け、なんとなく山道を登ったら、立派な教会がありました。プラハを一望出来る素晴らしい景色、そして上半身裸で幸せそうにビールをあおる中年男性も。
魔女焼きの夜。マンドリンを弾く
さて、プラハに早く着きたかったのは、この日が伝統的な行事である「魔女焼き」の日だからでした。これはキリスト教が伝わる以前から、魔女を炎で追い払うために行われていたそうで、いわゆる魔女裁判とは関係がないそうです。広い公園では、芝生でビールを飲んで楽しげにしている人たちがたくさん。焚火でソーセージを焼いていたり、小さな回転木馬で遊んでいたり。中央にはステージが設けられ、ブズーキやバグパイプを演奏するグループが歌っていました。
「うまいうまいうまいまい、ハイネハイネ。ハイコンニチワデース!!」
空耳ですが、そう歌っているとしか聞こえない。曲はどんどんアップテンポになり、いつしか観衆は激しく踊り始めます。屋台で売っていたソーセージにかぶりつきながら眺めました。
さて、今回はマンドリンを日本から持ってきています。フランクフルトではどうにも演奏する気になりませんでしたが、祭りの熱気もあり、少し外れた川のほとりで演奏しました。薄暗い中、家族連れやカップルがちらほらいるなかで、いろいろな曲を弾きます。でも、特に誰も立ち止まって聞いてはくれません。
1時間ほど弾いて、ちょっと気落ちしながら帰り支度をしているときに、少し離れたところに座っていた女性がこちらまで歩いてきました。 「素敵だった」「ただ、ありがとうと言いたかったの」捨てる神あれば拾う神あり。元気をもらって、宿へと向かいました。
ドミトリーに泊まる
宿泊代の節約のため、宿はドミトリーにしました。二段ベッドが何台も置かれた共同部屋です。個室だと数万円しますが、ドミトリーなら一泊数千円です(余談ですが、インドでは最安一泊200円のドミトリーがありました)。ゆったり読書をしているアジア人女性もいれば、世間話好きなブラジル人男性、ずっと床で腹筋している白人男性もいます。時に、なぜこの国に来たのか、母国に比べて物価はどうか、何の仕事をしているのかなど雑談も起こります。
こういう面白さがあるので、価格の面を考えないとしても、ドミトリーの方が好みです。とはいえ、盗難などには注意しないといけません。パスポートや財布は身に着けて、他の貴重品はロッカーに入れて鍵をかけ、身軽になって出かけます。
チェコの旧市街の夜景
旧市街は、昼間もきれいでしたが、夜のライトアップは別格でした。ちょっとした路地を歩くだけでもワクワクします。チェコはヨーロッパでも人気の観光地らしいですが、ということがわかります。
ガラスボタンを求めて
家族からお土産にリクエストされた、チェコの伝統的なガラスボタンを探しながら街を歩きます。しかし、方々探し回っても、どのお土産屋さんでも見つけられません。少し高級そうなアクセサリー店、アンティークショップもめぐりましたが、どこも口をそろえて「もう職人がいないから、どこに行っても購入はできないと思う」。最後の最後、GoogleMapで見つけたビーズ店に行ったら、ビンゴ!
何十種類ものガラスボタンがありました。しかも店主はまさかの日本人。閉店間際でしたが、快く選ばせてくれました。
話を聞くと、もともと職人の高齢化が進んでいたところへ、コロナがさらなる打撃となり、今では職人はほとんどいなくなくなってしまったようです。一時期、外国人の弟子をとったこともあるそうですが、「外国人が作ると、もはやチェコのガラスボタンではなくなる」と言って、やめてしまったとのこと。願わくば長く続いてほしいものです。
プラハ城と、旧市街広場でマンドリンを弾く
さて、魔女焼きの夜に褒めてもらったことにやる気を出し、翌日は演奏できそうな、かつなるべく人に聞いてもらえそうな場所を探して、キックボードで街を駆け巡りました。検索してみると、プラハ城と旧市街広場で路上演奏をした人のブログが出てきます。
プラハ城につくと、他に演奏している人はほぼゼロ。また、城の入口前で弾くのはなんとなくマズい雰囲気があるような気がします。プラハ城につくまでには、長い長い階段を登るのですが、その途中にちょうどいいスペースを発見。邪魔にならないようにしながら、そこで演奏を始めました。アンプでスマホから伴走を流し、演奏をします。
不思議なもので、自分が「見られている」と思うと緊張するのですが、逆に「弾いているこちらが、通っていく人を見ているのだ」と思うと、緊張が抜けていきます。心に余裕が生まれ、風や木の葉擦れの音に耳を澄ませながら、機嫌よく演奏ができるのです。そうしていると、アンプのケースに、通りがかりの人がコインを投げ入れていってくれました。無言で投げ込む人もいれば、にこにこ笑ってサムズアップする人、立ち止まってしばらく聞いてくれる人、様々です。2時間近く弾いて、2,000円ちょっとの投げ銭が溜まりました(その日のカフェ代になりました)。
今度は旧市街広場に向かいます。大勢の人通り。まわりには誰も演奏している人はいませんでしたが、まあいいや、と弾き始めます。こちらは、プラハ城前の階段ほど反応が良くなかったです。距離感があること、音が響きにくかったことなどもあったのでしょう。
それでも、10歳くらいのイギリス人の少年が、「イギリスのお金でもいい?少なくてごめんね、お小遣いがあんまりなくて・・・」と言いながらおずおずとコインを入れてくれたのが可愛らしく微笑ましく、うれしくなって日が傾くまで演奏を続けました。
聞いてくれた人の記憶のほんの片隅にでも、自分の演奏が残ってくれたら、それだけで本当にうれしいのです。
プラハにとどまるか、それとも。
プラハにもう一泊するか、それとも違うところへ行くか?「プラハで一番のクレープ!」と看板に書かれたカフェで苺クレープをつつきながら、悩みます。交通費、かかる時間、残りの日数。チェコの違う街に行くのもいい。このままプラハに滞在を続けるのもよさそうだ。しかし最後には、違う国に行くことを決めました。航空券の価格が1万円以下だったこと、比較的近くに昔から行ってみたかった場所があったことが理由でした。空港近くの宿を予約し、朝イチの便で出発することにします。
行き先は、ヨーロッパでも最も物価の高い国、デンマーク。その首都、コペンハーゲンに位置する、「無政府主義国家クリスティアニア」を見るのが目的でした。
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