お知らせ・コラム
『戦争は女の顔をしていない』スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ

2023年になってもウクライナで戦争が続いています。先月はパレスチナでも戦争が始まってしまいました。ずっと戦争について考えていました、この本を断続的に読みながら。一気には読み進められないほど、つらい記述が続くのです。
著者は、ベラルーシ人の父とウクライナ人の母をもち、2015年にノーベル文学賞を受賞しています。
独ソ戦(第二次世界大戦中ドイツとソ連の間で戦われた戦争)において、ソ連では多くの女性たちが参戦したということを、『同志少女よ、敵を撃て』というフィクションは、臨場感をもって私たちに教えてくれますが、そのフィクションの元になった証言集が本書です。
軍隊の中でもパルチザン(武装した一般市民が組織する非正規軍)の中でも、多くの女性たちが戦った。そういう女性たちの証言を集めています。
パルチザンとして活動した女性が次のような証言をしています。
密告によってドイツ軍にパルチザンの宿営地が知れてしまい、四方から包囲されてしまった。「わたしたち」は茂みの中に身を隠した……仲間の無線通信兵は、最近赤ちゃんを産んだばかり。赤ちゃんはおなかを空かせているが、母親は乳が出ない。赤ちゃんは泣いていた。敵はすぐそば。何匹も犬をつれている。赤ちゃんの声が聞こえれば全員が死ぬことになる。三十人全員が。……決断が下された。指揮官の命令を誰も伝えられない。しかし、母親は自分で思い当たった。布きれに包んだ赤ちゃんを水の中に沈めて、長いこと押さえていた。赤ちゃんはもう泣かない。静まりかえっている。「わたしたち」は誰も眼をあげられない……。
このような証言が多く集められています。
さすが続けて読むことができません。時間をかけて少しずつ読みました。途中で読むのをやめてしまうことはできませんでした、こういう歴史をなかったことにしてしまうかのようで……。
なぜ、このような戦争に多くの女性たちが喜んで志願したのか。証言を読みながらずっと疑問でしたが、その答えのヒントが次の証言にあるような気がします。
「私の大好きな父は、共産党員だったわ、清廉潔癖な人だった。私を育てたのは父なの。『ソヴィエト政権がなかったら、私はどうなっていたか分からない。貧民の子供で。富農の小作になっていただろう。ソヴィエト政権がすべてを与えてくれたんだ。教育も受けさせてくれた。そして技師になって、橋を建設している。私の今のすべてはありがたいわが国の政権のおかげだ』私はソヴィエト政権が好きでした。スターリンが好きでした。国の指導者全員が。父は私にそう教えたんです」。
1917年にロシア革命があり、1922年にソ連が誕生したばかり。世界で初めての社会主義国家。世界の多くの人々に影響を与えた。ソ連国内では社会主義革命によって救われた人々が多くいたのでしょう。そういう背景を考えると理解できるような気がしました。
しかし、それにしても戦争による犠牲があまりに大きすぎる。近代国家は戦争マシーンだということなんでしょうが。
第二次世界大戦における市民も含めた死者数は覚えておくべきもの。資料によって異なるようですが、ネットで検索したらこうでした。日本は310万人、ドイツは689万人、ソ連は2060万人です。
いまだに戦争を続けている国家って何ですか?!
※ここで紹介された本は萌学舎文庫(自習室の本棚。2週間貸出)にあります。
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