お知らせ・コラム
『逆ソクラテス』井坂幸太郎

私は走ることを日課にしています。最近は暑くて走れない日もありますが。
身体を動かすことで、凝り固まった心と体がほぐれてきます。凝り固まった心では自分の世界が狭まるので、注意しなければ。
さて、今回紹介するのは『逆ソクラテス』。小学生から読めます。「ソクラテス」について確認しておきます。こういうときは簡単にまとめてある本が便利。鷲田小彌太著『100文字でわかる哲学』という新書が手ごろでいいですよ。「ソクラテス」のところを引用します。
アテナイ最大の賢者といわれたソクラテスは、絶対的な真理などないとする考え方を否定し、普遍的真理を発見する方法を探求した。そして、『無知の知』を基本とする対話法によって世の中の『定説』をつぎつぎと批判した。
ここに出てくる「定説」というのは、先入観とか思い込みとか、凝り固まった考えのこと。
『逆ソクラテス』は教師の先入観とたたかう小学生の話です。教師の先入観を壊すために、小学生たちは「カンニング作戦」などを実行していく。少しスリルもありスカッとするところもあり、けっこう楽しい。さすがミステリーをずっと書いてきた作家です。
「決めつけて偉そうにする奴」に負けない方法を、転校生の「安斎」は「僕」に教えてくれる。「ダサい」とか「恰好悪い」とか言われたら「僕はそうは思わない」と言えばいい。
たとえば、父親が会社を首になった。誰かに「情けない父親だな」と言われたとする。そういうときにこれだけは言い返すべきだ。落ち着いて、ゆっくりと、しっかりと相手の頭に刻み込むように「僕はそうは思わない」と。
情けないかどうかは人それぞれが感じることで、誰かが決められることではない。「無職だ」とは言えるが、「情けないかどうか」はわからない。他人は自分の父親のことを知らないわけだから、ちゃんと表明すべきだ、「僕はそうは思わない」と。「君の思うことは、他の人には決めることはできないんだから」と「安斎」は「僕」に語りかけます。
毎日「ダメだ、ダメだ」と言われ続けた人は本当にダメになってしまう、などとよく言われますね。言葉の呪いです。他者からの決めつけも困ったものですが、自分で自分を決めつけてしまうことも残念なことです。心は柔軟に。ひとは日々成長し続けるもの。よし、明日も走ろう、ゆっくりと。
※ここで紹介された本は萌学舎文庫(自習室の本棚。2週間貸出)にあります。
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