お知らせ・コラム
未来が過去を変える話
入試もいよいよ最終盤です。もう無事に受験を終えた生徒もいます。というわけで、前回に続き、私の大学受験時代の話を枕に、今回は受験「後」の話をしようと思います。
受験が終わって最初の行動
私の大学受験の最終日は東大入試でした。試験直後の手ごたえは「よし、死んだな」という感じでして、すべり止めの都立大に行く覚悟を決めて家路につきました。
帰る途中、私はお気に入りの書店(今は亡きリブロ池袋本店です)に立ち寄り、本を買いました。買ったのは、数学の教科書です。
この話の常識的な解釈は「東大に受かるぐらい数学が好きな人はそうなんですねー」でしょう。すなわち「本を買った」のは結果です。
しかし、私の解釈は逆です。私は「自分があのとき数学の本を買ったことで、入試結果が合格に変わった」のだと思っています。「本を買った」のは原因なのです。
いやいや、もう答案用紙は出しちゃったんだし、結果が変わるわけないよね? 当然だれしもそう思うでしょう。
「未来が過去を変える」実験
「遅延選択実験」という非常に面白い実験を紹介します。
まず量子力学には「二重スリット実験」という有名な実験があります。壁に開けた2つのスリットに光を通しスクリーンに模様を作る実験です。光が波動であれば光は2つのスリットを同時に通って干渉し、縞模様ができます。光が粒子であれば1つのスリットしか通れないので縞模様はできません。そして光が波動になるか粒子になるかは「光が途中で観測されたかどうか」によって決まる、というのが「二重スリット実験」です。
「遅延選択実験」は光がスリットを通った「後」に観測するかどうかを決める実験です。その結果は驚くべきもので、光はすでにスリットを通過しているにもかかわらず、実験者が「観測しない」と決めた場合にのみ波動の性質を示し、縞模様を作ります!
「未来が過去を変える」というのは、そこまで荒唐無稽な話でもないんですね。
残心
弓道には「残心」という概念があります。矢を放つための八つの基本的な動き「足踏み、胴造り、弓構え、打起し、引分け、会、離れ、残心」の最後の動作です。矢が離れたあとも集中を持続させ、意識を途切れさせないのが「残心」です。
しかし、すでに矢は放たれています。結果は出ている。ならば「残心」にはなんの意味もないはずです。なぜそんなものが基本原則の一つになっているのでしょうか。
人間の身体は「どこで動きを止めるつもりか」によって「今どこまで動くか」を無意識に調整します。ですから 「矢が離れた後もしばらくその姿勢と気力を維持する」という前提があって、初めて身体は「離れ」の瞬間に向けて最大のパフォーマンスを発揮できるのかもしれません。
弓の達人たちは「結果が出たあとの動作も結果に影響する」ことを知っていたのです。

「それならもう一度!」
哲学者ニーチェが行った思考実験に「永劫回帰」があります。今まで自分が生きてきた人生をもう一度、何一つ変えずに無限にくり返すとする。これを受け入れるか、という思考実験です。
ニーチェの答えはこうです。もし人生のある瞬間に最高の充実を感じ、心の底から「この瞬間のためなら、過去のすべての苦しみも必要だった」と思えたなら、永劫回帰を受け入れられる。
ニーチェの『ツァラトゥストラはかく語りき』には、こんな言葉が出てきます。
「これが生きることであったか。よし、それならもう一度!」
こう叫んだ瞬間に、苦しかった過去のすべてが肯定され、意味のある体験へと変貌します。私の「受験直後に数学の本を買う」という行動は数学の勉強に対する「それならもう一度!」だったように思います。
入試が終わり、勉強が始まる
ということで、中3生のみなさん、受験もあと少しです。終わったら、しばらくは休みましょうか。でも勉強はこの先も続きます。高校受験は長い人生のほんの始まりです。そういう気持ちで最後まで勉強してください。
「正しい道を選ぶのではなく、選んだ道を正解にする」という言葉があります。みなさんが歩いている道はいつか、必ず正解になります。ラストスパート、がんばりましょう。
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